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年始行事色々。
2024-01-24
遅ればせながら、
新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞ宜しくお願い致します。

今年からやっとコロナ過前並みに新年行事が行われました。
コロナ中は2024年頃から通常社会に戻れると予想されていましたがホントにそう成りましたね。

元請さんの安全祈願や新年会、業界団体の新年会、岩下組の新年会も四年ぶりに行った次第です。
昔は花見だったり、旅行だったりと年に数回従業員が一堂に会す機会がありましたが、ここ数年は全てが無くなっていました。
同じ会社の職人さん同士でも長く顔を合わせていない人も居ましたので新年会が出来て本当良かったです。

新年会の冒頭、昨年秋から数件続けてちょっとした事故や怪我、病人が出ましたので注意喚起と事故があった時の対処方法、連絡事項等の確認と今後の仕事の動向、若手の採用などの話を少しさせて頂きました。
久々の新年会で全員参加してほしかったですが、二名程体調不良で欠席だったので残念です。

年末年始と風邪やインフルエンザで休む人が多々いましたが、コロナが明けてマスク着用しなくなった途端に風邪やインフルが流行り出したように感じます。
この時期は繁忙期。
一人一人の力が大切になって来ますので皆さん健康管理には十分注意して下さい。

コロナもそうですが、風邪やインフルエンザ等にかかるのは若い人が多いような気がします。
コロナに罹った人は私よりも若い人ばかりで、年配の職人さんは誰も罹っていませんし、風邪もひかない様です。
数十年外仕事、力仕事で培った体力、免疫があるのでしょうね。


話が大分それてしまいましたが、今年も一年無事故、無災害、無病息災で頑張りたいと思います。
本年も宜しくお願いします。


  岩下 勉
















年末・年始休暇のご案内。
2023-12-23
年末に成り、やはり寒波がやって来ましたね。

12/30(土)~ 1/4(木)まで冬期休暇とさせて頂きます。


今週末は荒れた天候で外仕事は軒並み延期に成りました。
年内最後の来週は天気に恵まれそうなので良かったですが、週末荒れた天候のせいでスケジュールがパンパンです。

無事故無災害で新年を迎えたいですね。

以上簡単更新でした。

     岩下 勉




















セル・ケコミパネル。
2023-12-16
12月に入り、ようやく雨が降り出しました。
今年は夏から秋にかけて、台風どころか雨も降らず水不足の声もちらほら聞こえていましたが、やっと雨が続きました。
いつも言うように、我々の仕事は外仕事が多いので、雨が降らないに越したことはありませんが、生活していく上で水は非常に大事です。
正月休みまで天候が悪い予報なので、頭を抱える日々が続きそうですが、頑張って乗り切りたいと思います。


前振りが長くなりましたが、今回初めてセル・ケコミパネルを使用しました。
「セル・ケコミパネル」とは無石綿のスレート板にポリマーセメントモルタルを塗布したコンクリート階段専用の蹴込板です。
埋込式の型枠として使う事で、従来の左官仕上げによる階段施工に比べ、大幅な工程短縮を可能にした省力化商品です。

今年の6月に行われました日左連青年部大阪総会の材料メーカー出店ブースの一角に展示してあり、見た時から興味を持っていました。
その後、福岡市の左官組合でこの材料の講習会を取り上げて頂き、実物を見て一度使ってみようと思った次第です。

今から20年程前、福岡県でも階段板をPC板で作っている業者(元左官)さんが居て良く使っていたのですが、社長が亡くなられて以降は製造出来なくなったので在来工法で施工していました。

今は従来の下塗り、中塗り、仕上げの従来工法か、詰込み枠を作って一段置きに仕上げる詰込み工法のどちらかが主流と思います。
岩下組では前者の工法で従来通りの施工方法で仕上げていますが、高齢化に伴い、以前は一人で出来ていた作業も2人でするようになったり、日にちが余計にかかったりと年々支障が出て来ていました。

左官仕事の中で階段仕上げは大変な作業で、階段仕上げが出来て一人前と言われる位、施工も難しいです。
そう言った状況も相まって蹴込パネルを一度使ってみようと成りました。


使った現場は新築の小学校。


中階段が二つあり、どちらも幅が1,800㎜程ある大きな階段です。
まずは下地の清掃・プライマー処理(蹴込パネルにも塗布)を行い、高さ調整をくさび代わりにスタイロフォームを敷いて行った 後、300㎜間隔でだんごモルタルを塗付け、蹴込パネルを墨通りに取り付けて行きます。
パネル自体が6㎜と薄いのでその位の感覚でだんごを付けないと、そりや膨れが出ると思います。
又、1,800と幅有るので倒れ防止に3ヶ所程定規で控えを取り準備完了。
翌日から天端塗りを開始しました。

マンションの階段は1階分15.6段ですが、この学校は21段あります。
しかも幅もあり沢山モルタルが必要なのでバケツで一杯ずつ運んでいても時間がかかってしまいます。
職長と相談してべニア板を数枚敷いて上から一輪車で踊り場に流す作戦を取りました。
上から一輪車10台分モルタルを流して踊場へ溜めます。
そこからバケツリレーで天端を塗って行くのでチームワークが大事ですね。
天端の定規すり、蹴込パネルの着いたモルタル掃除をしながら作業を進めて行き塗付け完了。

後は乾きを見ながら金鏝で仕上げて行くだけですが、その際、天端の角を踏んでしまうとパネルが外れる可能性があるので踏まない様に注意します。


翌日、両サイドのパネルの隙間を補修し完成。


初めてのケコミパネルでしたが、以前似た材料を使った経験もあり、スムーズに作業が出来ました。

感想として、立上りを塗る作業が無いので労力的には非常に楽ですし、人数も少なく効率的に作業が出来ますが、その分いい値段がします。

今回は中階段でシート貼り仕上げだったので施工しやすかったですが、溝付きやノンスリップタイルを貼る施工法では手間が増えますので、予算や現場の状況で使い分けると良いかと思います。 

慣れてくればもっと効率よく作業が出来てくると思いますし、一度使うと楽なので皆さん使いたがるかも知れませんね。

今は色々な工法や材料があるります。
従来の工法も大事ですが、現場の状況にあった新しい技術を考え試しながら、より良い作業環境にしていくことが私の役目と肝に銘じ頑張って行きたいと思います。

残り半分階段仕上げが残っていますので、最後まで気を引き締めて進めて行きたいと思います。

今回も大変勉強に成りました。

岩下 勉























第61回技能五輪全国大会。
2023-11-21
二ヶ月ぶりの更新となってしまいました。
暑い夏が終わり台風時期に突入しましたが、今年は一度も台風が来ないまま秋から冬へと季節が過ぎて行き来ました。
10月、11月は雨も少なく天候に恵まれ、雨で悩まされることも少なく非常に助かりました。


話変わって先週、技能五輪の全国大会に行って来ました。
昨年から競技委員を仰せ付かっていますので、水曜日の午前中に現地入りし、午後から設営準備の手伝い、架台の設置、点検、採点方法、採点基準の確認を行い本番を迎えます。

今年のメイン会場は愛知県国際展示場。

今回の課題発案者は東京の競技委員の方で、今年卓越技能賞を受賞れた名工です。
今年の金賞(優勝)受賞者は来年フランス・リオンで行われる国際大会の出場資格が与えられるので、架台自体もそれを意識した国際大会使用と成っている為、23歳以下の選手にとっては難易度が高くなっていますが、その分やりがいもあると思います。


以下JABADA(中央職業開発協会)ページから抜粋です

概要

 技能五輪全国大会は、国内の青年技能者(原則23歳以下)を対象に、技能競技を通じ、青年技能者に努力目標を与えるとともに、技能に身近に触れる機会を提供するなど、広く国民一般に対して技能の重要性及び必要性をアピールし、技能尊重機運の醸成に資することを目的として実施する大会であり、昭和38年から毎年開催されています。幅広い職種を対象とする、唯一の全国レベルの技能競技大会です。偶数年度の大会は、翌年に開催される技能五輪国際大会〈唯一の世界レベルの技能競技大会(隔年開催)〉の選手選考を兼ねています。

技能五輪全国大会のあゆみ(開催状況)はこちらより

競技職種:42職種

機械系(9職種):

機械組立て、プラスチック金型、精密機器組立て、機械製図、旋盤、フライス盤、試作モデル製作、自動車工、時計修理

金属系(5職種):

構造物鉄工、電気溶接、自動車板金、曲げ板金、車体塗装

建設・建築系(10職種):

タイル張り、配管、石工、左官、家具、建具、建築大工、造園、冷凍空調技術、とび

電子技術系(5職種):

メカトロニクス、電子機器組立て、電工、工場電気設備、移動式ロボット

情報通信系(3職種):

IT ネットワークシステム管理、情報ネットワーク施工、ウェブデザイン

サービス・ファッション系(10職種)

貴金属装身具、フラワー装飾、美容、理容、洋裁、洋菓子製造、西洋料理、和裁、日本料理、レストランサービス


1 目的 第 61 回技能五輪全国大会(以下「全国大会」という。)は、国内の青年技能者の技能レベルを 競うことにより、青年技能者に努力目標を与えるとともに、技能に身近に触れる機会を提供する ことなどを通じ、広く国民一般に対して技能の重要性や必要性をアピールし、技能尊重気運の醸 成を図ることを目的とする。 また、全国大会において、令和6年9月にフランス・リヨンで開催される第 47 回技能五輪国際 大会(以下「国際大会」という。)で実施が見込まれる競技職種に関連する一部の競技職種に係 る選手の選考を行うこととする。


ほとんどの競技が11/17(金)に開会式。
11/18(土)、11/19(日)の二日間が競技。
11/21(火)入賞者発表、閉会式の日程になっています。

左官競技は昨年からの取り組みで、国際大会同様架台の一部の寸法が当日朝に変更になる所がありますが、熟練の職人さんなら何ら問題無いのですが、23歳以下の若い技能者では急な変更箇所の応対が上手く出来ないといけないので、付添いの方と10分間作戦会議の時間が与えられます。
又、2日目朝の第2工程はスピード競技になっていて、作業時間は決まっていますが一番早く終了した順
に点数がついていきます。
もちろん早く終わる程点数は高く成りますが、ちゃんと作業が終えていないと点数がもらえないので、そこらの判断が重要になって来ます。
更には毎年ある自由課題のアイディア、独創性、創造性等の点が今回の見どころになってます。


土曜日の朝、各競技共スタートの合図が大きな会場全体で鳴り響いています。


左官競技も朝8:50から競技開始で3工程合計9時間30分に及ぶ長い戦いの始まりました。
工程ごとの作業内容は決まっていますが、手順は決まっていませんので選手ごとに違いがあるので見ていてもとても面白いですね。
どう考えてもその作業よりこの作業が先だろと思う事も有ったり、逆にそんな発想が有ったのかと思う事もあるがこの大会の魅力。

今回の出場選手は全部で11名。
昨年の17名からは減りましたが、今年も4名の女子選手を初め、現役の高校生や学生、専門学生等バラエティ豊かで将来がものすごく楽しみですね。


私は競技委員なので採点もしなくてはなりません。
見落としや見間違い、選手との接触等無い様に最新の注意を払い他の方と確認しながら判断しなくてはなりません。
競技会場内を一日中歩き回って足はパンパンですが、
選手は一生懸命頑張っていますのでそんなことは言ってられませんね。


一日半の競技なので始まってしまえばあっという間。
無事に事故や怪我無く終えましたので一安心ですね。


競技終了後、選手と関係者や身内の方と記念撮影していますが皆さん良い顔してますね。
さっきまでの真剣で鋭い眼差しが、安心してほっとし、やり切ってすがすがしい顔になっていました。

いつも言いますが選手によって練習環境は様々。

練習時間がある人、無い人。
練習場がある人、無い人。
指導者がいる人、居ない人。
道具が揃えられる人、揃えられない人。
相談出来る人がいる人、居ない人。
当然お金の問題もあると思います。

それぞれが置かれた環境の中、一生懸命頑張った事と思います。
採点競技なのでどうしても順位は付いてしまいますが、今まで課題に取り組んだ数か月間は皆さんの人生に必ず必要な時間で、一回り二回りも成長し何者にも代えがたい時間になったと思います。
誰しもが経験出来る事では無く、チャレンジした人だけが経験出来る、まぎれもない財産だと思います。
今回一緒にチャレンジした選手同士はこれから先もずっと仲間です。
司会の方も言っていましたが、お互い困った時や悩んだ時は連絡し有って励ましあうような一生の仲間で有ってほしいですね。

将来の日本の左官を背負って立つような人育ってくれると嬉しいですね。

競技終了後の火曜日に結果発表がありました。
泣いた人、笑った人、悔しい思いをした人、練習通り出来なかった人、練習以上の物が出来た人色々いたと思いますが、皆さん本当に最後まで諦めず一生懸命戦いました。
だからこそ見ている人に沢山の勇気と感動を与えられたのだと思います。

今回も沢山若い方が見学に来られていました。
私も出てみたいと少しでも多くの若者が左官に興味を持ってくれると五輪を通じて左官業界全体も盛り上がっていくと思いますので、魅力ある業界にしていくことが我々の使命ですね。
私も微力ながらお手伝いが出来ればと思っております。

今後の皆さんの左官人生が素晴らしい物に成ります様にと祈りながらの岐路と成りました。


ホントに選手の皆さんお疲れ様でした。
又、入賞られた皆さん本当におめでとうございました。


今回も大変勉強に成りました。


        岩下 勉























技能検定実技試験。
2023-09-11
朝晩は涼しくなりましたが、今年は残暑が厳しいですね。
まだ暑い日が続きそうなので健康管理に気を付けて乗り切りましょう。

先日、令和5年度の技能検定実技試験があり前日準備と当日の補佐員でお手伝いして来ました。

ここでも数回触れましたが技能検定試験とは
以下抜粋

技能検定は、「働く人々の有する技能を一定の基準により検定し、国として証明する国家検定制度」です。技能検定は、技能に対する社会一般の評価を高め、働く人々の技能と地位の向上を図ることを目的として、職業能力開発促進法に基づき実施されています。

技能検定は昭和34年に実施されて以来、年々内容の充実を図り、令和5年4月現在、都道府県が実施する職種が111職種、指定試験機関が実施する職種が20職種となっています。技能検定の合格者は、確かな技能の証として各職場において高く評価されています。

受検に際しては、原則として検定職種に関する実務経験が必要です。必要とされる実務経験の年数は以下のとおりですが、職業訓練歴、学歴等により短縮される場合があります。詳しくは厚生労働省のホームページをご確認いただくか、最寄りの都道府県職業能力開発協会へお問い合わせください。

特級1級合格後5年以上
1級7年以上
2級2年以上
3級
単一等級3年以上
  • 3級の受検資格として必要な実務経験期間については、従前6ヵ月以上とされておりましたが、平成25年4月から緩和され、6ヵ月に満たない場合も受検可能となりました。
    また、従前通り、検定職種に関する学科に在学する方及び検定職種に関する訓練科において職業訓練を受けている方も受検できます。

受検の申込み


と言う訳で
3級試験は別途ありましたので、福岡県内で1.2級合計31名が受験。
31名中、福岡市の合同練習に参加したのが20名。
数年、数十年前からそのうち職人不足で試験を受ける人もほとんど居なくなると言っていましたが、
毎年30~40名程受験者が居るので不思議なものですね。

話がそれましたが、
試験前日にぐらつきや傾き、ねじれの無い様に確認しながら31台分の課題を設置。
定規や材料の確認もしました。

迎えた試験当日。

8時30分受付開始ですが8時前には皆さん会場に集まっていました。
さすが皆さん職人さんですね朝が早い。
急遽受付を前倒しにしました。

受付後に朝礼、課題の説明、作業時間、注意事項の確認が一通りあり、自分の課題前に道具を運び試験に備えます。

9時になり実技検定試験スタート。

最初の作業で早い人は10分位で次の作業へ進みますが、今回最速は8分。
沢山練習してきたと思われます。
しかし、時間が進むにつれ全体的にペースが落ちているようでした。

今年の合同練習が7月半ばの5日間。
最終練習が8月20日の日曜日。
皆で練習するのは全部参加で最長6日間。
その時に練習状況を確認しましたが皆さん余り満足に練習できていない様でした。
各事業所の状況で違いはあるでしょうが、今年は特に猛暑で思う様に作業が進まなかったり、夏休み工事で人手も足りず、練習があまり出来なかったかもしれません。

しかし、合同練習に参加するだけで合格出来る程簡単な試験ではありません。
個々でどれだけ練習したかによりと思います。
練習は裏切りません。
すればする程上手になりますし、自信にもなります。


それぞれ色々な状況で挑んだ検定試験。
皆さん必死に最後まで諦めずに頑張っていました。


結果が出るのは2か月後。

一人でも多くの方が合格する事を願っております。


     岩下 勉








第49回 全国左官技能競技大会。
2023-08-19
お盆を過ぎてから少しは涼しくなってきましたね。
日中はともかく、朝晩は秋を感じるようになって来たので一年は早いですね。

話し変わって先週、左官技能競技大会の見学で北海道・帯広まで行って来ました。
帯広は今年3月に日左連青年部戦略室会議で行って以来の2回目ですが、今後行く事は中々無いと思いますので3泊4日の予定でじっくりと見学して来ました。

全国左官技能競技大会とは「左官職人日本一」を決める大会で、全国10か所あるブロックの会長からの推薦もしくは、予選会等で勝ち上がってきた選手が出場。
予選会で敗れた方やブロック長推薦から漏れた方は日左連会長の推薦枠で認められれば出場できる狭き門です。

大会は昭和38年から開催されており、当時は毎年行われて、しかも、A・B二課題ありそれぞれで競われていたので、それだけ出場者(職人)が多くいたことが伺えます。
今では二年に一回の大会で、開催地も持ち回りなので出場機会を模索するのも大変だと思います。


今回の担当は初開催の北海道ブロック。


当初は札幌で7月に開催する予定でしたが、会場の床の不具合があり急遽帯広で開催する運びとなった次第です。
しかも準備から撤収まで一週間かかるので、会場予約の都合上、押えれたのがお盆前に成ったみたいです。

開催地の変更やお盆前の開催と合って準備も非常に大変だったと思います。
見学する側もお盆前の繁忙期、しかもアクセス的にも決して良いとは言えない帯広という事で、見学を諦めた方も多少はいたと思います。
(帯広自体は良いとこですよ)

今回の課題発案者は福岡の偉大な大先輩。
しかも審査委員長まで務められます。


テーマは「北の四季」


基本に基づいた伝統工法や現代工法、材料も伝統的な物から新建材まで幅広く使われ非常によく考えられております。
さすが第22回大会のチャンピオンです。

競技は三日間、延べ19時間の長丁場。
時間もですが施工手順、施工方法、寸法、角度、道具の使い方、材料の使い方、作業場の整理整頓等すべての事が採点されますので選手もそうですが、審査委員も非常に大変です。

4月に3日間、合同の説明会及び合宿があり工程ごとの施工手順、注意点、材料の特性等を選手全員で共有。
地元に持ち帰りそれぞれが大会本番まで一生懸命練習したと思います。

沢山練習出来る人、出来ない人、講師が要る人、居ない人、練習場所がある人、無い人、様々な環境下で選手は出来る限りの努力をしてきたと思います。

競技大会に出場するくらいの猛者でも大会が近づくにつれ肉体的、精神的に相当追い込まれてくると思います。
色々な道具、工具、手順や材料の固さまで細部にまで研究、改良を重ね自分が一番自信の持てる工法を確立して本大会に臨んでいます。
何度も何度も繰り返し練習し、練習した数だけ自身も持てると思います。

始まてしまえばあっという間。
見ている方は気楽なもんですが選手は死に物狂いで作業を進めています。

出場者はホントに優秀な人ばかりで最後の最後までどなたが優勝するか分からない位の攻防が繰り広げられました。
置き引きが得意な人、蛇腹引きが得意な人、塗付け作業が得意な人、洗出しが得意な人、土壁が得意な人
等様々。

皆さん最後の最後まで全力を振り絞っていましたが、それでも数名は時間内に競技を終了する事が出来ませんでした。
そのくらい今回の課題は色んな意味で難しかったのだと思います。
終わらなかった選手も最後まで諦めずに仕上げ切り万雷の拍手を頂いてました。

本当に三日間お疲れさまでした。


翌日。


表彰式前に順位発表が会場であり、今回は1位と2位の差が2点。
3位と4位の差が1点と、近年稀に見る僅差の戦いでもあったので、泣いた人、笑った人、やり切って晴れ晴れの人、悔しい思いをした人、それぞれがの表情がとても印象に残っています。

順位発表後、審査委員長から選手一人一人総評がありました。
それぞれ仕上がった課題の前でよかった点、悪かった点、間違った手順の指摘や仕上げのタイミングの見分け方、養生方法、鏝押えの回数、鏝の選別、使い方に至るまで色々なアドバイスを送っていました。
これは競技大会だけでの話ではなく普段の仕事にも通じる事でとても参考になったと思いますし、自分では完璧に仕上げたつもりでも悪かったと所を指摘されて初めて気づくことも有りますし、それが採点に影響があったことも伺い知れます。

競技大会に出てくる強者達は普段の仕事で悪い所を指摘されることは少ないと思いますので、悪かった所や改善点問題点を指摘されるのは非常に勉強になったと思います。
点差こそ1.2点ですが、そこを埋めるには相当な努力と時間、勉強が必要と思われるので最後の改善点を含めた総評は選手にとってとても良かったと思います。
後の皆さんの晴れ晴れさそれを物語っていました。

競技は3日間。
取組んだのはその数十倍の時間。
その時間の数百倍の学びがあったと思います。

その時間、学びがこれからの皆さんの財産になると思います。
今回経験した事を若い世代へと繋げてくれるといいですね。

選手の皆さんホントにお疲れさまでした。
今後の左官人生が素晴らしい物に成ります様に祈っております。

今回も大変勉強に成りました。

  岩下 勉

PS・やっぱり三人揃うと色々ありますね 笑 














夏季休暇のご案内。
2023-08-04
毎日暑い日が続きますね。
現場で働く職人さんにはホントに頭が下がります。
最高気温が36、7度が当たり前の世の中になっていますが、10年後は一体どうなっているでしょうかね?


8/11(金曜日)~8/15(火曜日)まで夏季休暇とさせて頂きます。


数年前から空調服を支給していますが、これだけ暑ければ余り役に立た無いような気もしますが、無いよりは絶対ましなはずで…
恐らく炎天下の屋外やスラブ上はもっと熱いはず。
お盆休み明けからは少し涼しくなってくれると助かりますね。

皆さん健康管理には気を付けて、こまめな休憩と水分、塩分補給を忘れずに何とか猛暑を乗り切って下さい。

以上簡単更新でした。

  岩下 勉
PS・私は8/9から競技大会の見学で帯広です(ちょっとは涼しいかな笑)


















令和5年 技能検定実技講習会。
2023-07-18
うだるような暑さに成りましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
毎日外で働く職人さんにはホントに頭が下がります。
特に炎天下の作業では、適切な休憩と水分・塩分補給を行って猛暑を乗り切って下さい。


話変わって、先週、技能検定試験の実技講習会があり、私も講師として参加して来ました。
毎年恒例の技能検定実技講習会ですが、9月初めに本試験がある為、自主練習期間も考慮し、二か月前の一年で一番暑いこの時期にあります。

技能検定とは、働くうえで身につける、または必要とされる技能の習得レベルを評価する国家検定制度で、全部で約131職種の試験があります。試験に合格すると合格証書が交付され、「技能士」と名乗ることができます。

私が1級の技能検定試験を受けたのが今から23年前。
その頃から検定架台自体は変わっていませんが、施工要領に問題がありました。
手順は決まっているのですが、講師の解釈次第で施工手順が違うので、生徒さんが戸惑う事が多々ありました。

手順が違えば採点も当然変わって来るでしょうし、同じ組合の先生方でさえ違う訳ですから、全国で行われる技能検定試験では地方地方で相当違っていたと思います。

「全国共通の施工要領が必要だ」そんな声が恐らく全国で上がって来たと思われ、数年前に施工要領DVDが作成されました。

そのおかげで指導する側も、受ける側もホントに楽になったと思います。
講師はいますが、正式な施工手順はDVD通りなので、
講習初日は1.2級で部屋を分けてDVDを見ながら皆で手順を確認していきます。

DVDで確認後作業場へ移動し実技講習スタート。

講師は作業中に巡回しながら墨出しの手順が間違っていないかや忘れは無いか、塗付け箇所の順番や使用道具、寸法、角度、美観、鏝の使い方、施工時間等を確認していきます。
練習時に適切な指摘をしておかないと、本番時に間違っていても当然ながら誰も教えてくれず減点と成ってしまいますし、検定委員からも後日指導方法が悪いと注意を受ける事に成るので教える側も責任重大です。

私は3日間ですが、実技・学科両方共受持つ先生は合計6日間です。
特に今は決められた方しか講師が出来ませんので、この先生方は毎年。
全員合格出来れば言う事ないですが、どうしても数名は落ちてしまいますので指導方法に対する批判的な声も聞こえてきます。
それを踏まえて講師を務めるわけですからホントに頭が下がります。

今年の福岡市の実技講習参加者は1.2級合わせて20名ですが、3月に増築倉庫が完成したので練習環境も快適です。

学科講習が今月末。
合同実技講習が8月後半にあと1回あります。

もちろんこの講習会を受けただけでは合格は難しいと思います。

後は、個人個人がどれだけ仕事後や休日に練習するかにかかっていますし、回数をこなせばどんどん上達しますし自信にもなります。

本番まで一月半。

最後まで全力で頑張って下さい。

   岩下 勉
















引退。
2023-07-10
今日の雨は凄かったですね。
被害にあわれた方々、心よりお見舞い申し上げます。

私の所も、もう少しあの勢いで雨が降っていたら非常に危険な状態になっていたと思いますので、上がってくれてよかったです。



話変わって6月末、一人の職人さんが引退されました。


御年80歳。


数年前も一度、健康上の理由で引退を表明されましたが、体の調子が戻り撤回されて働いていました。
今回は年齢的な問題もあり本人の意向で急な引退の運びと成りました。

生え抜きの職人さんではありませんが、職人歴65年、岩下組に来て約40年経ちました。
本当に長い間ありがとうございました。

私も職人時代はとてもお世話になった方で、寡黙な方ですが職人気質の方でとてもいい腕をしていました。
ここ数年で3名の職人さんが引退しましたが、一番の年長者です。

今後も年齢順通りでは無いと思いますが、数年で引退を控えている方々が居ます。

私が社長になった頃、10年後までに10人の若手社員を増やすと目標を立てました。
10年経った今、目標達成までは遠く及んでいません。
入ってきた数だけで言うと10数名が来ましたが、そんなに残っていないのが実情です。

最初のころは求人の出し方も分からず縁故関係に当たるか求人雑誌などに乗せるのが精一杯でした。
求人誌に乗せれば応募はあるものの、言い方が悪いかも知れませんが一度や二度離職されている方ばかりなので、やめる事に対してハードルが下がっているように感じました。
面接に遅刻してきたり、来なかったり、採用して働きだしても遅刻や無断欠勤、そのうちに来なくなってこちらから連絡を取って初めて退職するを伝えられることも有ったり沢山の失敗をしてきました。

日左連青年部の幹事会に出させて頂けるようになり、皆さん同じように採用に苦労されている事を知りましたが、上手くいっている所も有る事も知りました。

共通して言われることは「新卒採用が望ましい」との事。
私もいろいろ経験し、言っている意味が良く判りました。
それからは高卒求人に絞って採用活動を開始し始めましたが、求人票の書き方も良く判らず苦労しました。
ハローワークの職員さんが根気よく指導して下さりようやく求人が出せたことを今でもよく覚えています。

高卒求人を初めた最初の年に奇跡的に採用できた子は今でも元気に働いてくれています。
しかもほぼ無遅刻、無欠勤。
同じ年中途採用1名、高卒新人1名、高校中退者1名採用しましたが、今でも残っているのは後者2名です。

もちろんやめて行った方々が一方的に悪い訳では無く、私の育成方法や先輩職人さんの対応も良くなかったのも事実です。

今は、日左連青年部の方と多少なりともつながりを持てたので、採用、育成を上手くやっている方を色々参考にさせて頂いています。
やはり、上手くいっている方はその分必死に沢山動いています。

もちろん出来ないことも有りますが、出来る事から一歩を踏み出さないと何も始まりませんからね。


今回の職人さんの引退は、更に力を入れて新卒採用を頑張らねばと改めて考えさせられる出来事と成りました。

   岩下 勉



















20年前のアースウオール。
2023-07-03
一月ぶりの更新となってしまいました。
梅雨に入ったものの大して雨は降りませんでしたが、7月に入り急に降り出しましたね。
雨は大切ではありますが、我々外仕事に従事する者は降らないに越したことはありません。
どんなに段取りしていても自分の思い通りには絶対行きませんし、あらゆる手を打っておく必要がありますので、経験が物をいうと思います。
今段取りに困っている方、これも大事な経験と思い、あきらめずに頑張って下さい。


話がそれましたが、先日、住宅の仕事で「アースウオール」を塗って来ました。

このお宅は、この場でも何度か取り上げさせて頂いた木造平屋の純和風日本家屋で、今から20年程前に施工させて頂いた住宅です。

個人の住宅では珍しく、ふんだんに左官工事が採用されており、外壁は全て珪藻土土壁「アースウオール」塀は寒水石の掻き落し仕上げ、通路床は豆砂利の洗出し仕上げ、住宅内も珪藻土、漆喰、聚楽壁とほとんどが左官工法で仕上げられております。

工事完了後7.8年位経った頃から、洗出し床の浮や、塀の掻き落しの補修工事等、経年劣化から来る手直し工事をさせて頂くようになりました。
その頃は元請会社や設計事務所さんも立ち会って施工方法や施工範囲の確認をしていましたが、ここ数年は工事完了から時間が経ってしまったことも有り、こちらの物件を把握していた元請社員の方々が引退していたので応対が遅れ遅れになっていたみたいです。

その様な状況だったのでご主人から直接補修工事の話を頂くようになり、元請さんからも「左官屋さんに直接頼まれた方が話も早く、金額も押えられるからその方が良い」と言って頂いたので自社で出来る工事は直接させて頂くこ事と成りました。

昨年の秋、 「外壁珪藻土の表面が大雨が降った時流れるし、和室のサッシから雨漏りもするようになったから一度見て頂けませんか」と連絡がありました。

実はこの以前から「外壁の土が大雨の降った際流れて床面が黄砂が降った後のようにあるのでどうにかならないか」と相談を受けていました。
しかし私はその都度、「外壁表面を強化する事は可能ですが、下手に扱うとせっかく綺麗な外壁の美観が損なわれてしまうのでやめた方が良い」と言って断っていました。
しかし、完成から20年経ち、雨漏りも一部している事なので何とかお願いしますと頼まれてしまい現調に行くこととなった次第です。


3年ぶりに来て見るとやはり素晴らしいお宅。


外壁の珪藻土壁も全然きれいなままです。
屋根の軒が出ているので直接雨がかかりにくいのがきれいに保たれている鍵ですね。
案内されて和室外壁の雨漏り箇所を確認すると確か水が伝って来た跡がありました。
その影響でか、床の間床の漆が変色していましたし、
外壁も手で触ると少量ですが表面の土が落ちます。

結局この時、外壁の表面強化、水漏れ、漆の研磨?再施工の三点をお願いされました。

外壁だけならまだしも水漏れ、漆などは自社での対応は自信がありません。
特に水漏れは特定出来なくてドツボにはまるのが用意に想像出来ました。
そこで、新築時にお願いした工務店さんに相談した方が良いとお伝えしましたが、「今更なのであなたがやってくれと」ご主人。
私もここでうっかり安請け合いするわけにもいかないので、自社がお世話になっている工務店さんにお願いしてよいか確認するとOKの返事。

事情を説明し、いつも住宅左官でお世話になってい工務店さんを道連れにしました(笑)

快良い返事を頂いたので、私と工務店さん防水屋さん三社で再度訪問する事に。
数種類の表面硬化剤をのサンプルをもって行き現場で照らし合わせながら今現在の外観が損なわれないような材量を選別しました。
そして試験施工的に一部外壁に表面硬化剤を塗らせて頂き、一か月後確認する事と成りました。

一月後、外観はほぼそのままで表面もちゃんと固まっていました。
これで材料が決まったので、外壁全面の表面硬化剤塗りと水漏れ箇所の防水処理、防水処理面のアースウオール上塗り、漆塗替の見積りを提出しその場でゴーサインが出ました。

施工は決まったものの、その時は1月。

ご主人からは梅雨に入るまでに工事完了すれば良いですよとお言葉頂いていたので、天気の落ち着く春先に施工する運びとなりました。

4月に入り工事スタート。

先ずは水漏れ箇所のサッシ枠の取り外して元の収まりを確認すると、やはり何の漏水対策もしていません。
工務店さんが当時の図面で確認すると設計図にこの窓が載っていません。
急遽、何かの不都合があり、窓を付けたと思われます。
なので完全な漏水対策がさせず大雨が降った際漏水していたと思われます。

やはり工務店さんにお願いしていて良かったです。

防水工事後にアースウオールを塗りしましたが、当時の職長さんが今でも健在なので、今回もお任せした。
この職長は大柄で声が大きく、腕も良く、誰とでもすぐに親しくなりますしすごく頼りになりますが、問題児です。
(何が問題かは伏せておきます笑)

この材料の仕上げは基本掻き落しみたいですが、このお宅の仕上げは洗出し。
洗出しと言っても水で洗い流す訳では無くスポンジでのふき取り仕上げ。
専用下塗り材を1~2㎜厚で塗り、後追っかけで上塗り材を8㎜厚で塗り付け、木鏝で地を整えて金鏝で軽く押え、ある程度乾燥後にスポンジで拭き上げて行きます。
拭き上げのタイミングが難しい所ですが、さすがにこの道一筋の大ベテラン、久しぶりの仕事でも体が覚えていたのか上手く対処し、仕上げています。
さすがです。

防水処理、珪藻土塗り後、一か月程様子を見て、雨漏りが無い事を確認し、全体に足場を組んで最終工程の表面硬化剤塗りと漆塗りがスタート。

最終工程開始が5月の連休後からで、約一週間の予定。
万が一雨で施工出来ない日があっても梅雨前には十分終わるので一安心です。


しかし、半分ほど施工した後、思わぬトラブルが。


一部で表面硬化剤が早乾きしたのか、壁の一部が白く跡が着いてしいました。
色々な洗浄方法で試していましたが何をやっても落ちる事はありませんでした。

結局跡が着いてしまった箇所は上からアースウオールを塗りかぶせる事に成り、再施工箇所の確認や数量確認、保護材の再選択等すったもんだしている内に梅雨に入ってしまい、踏んだり蹴ったり状態でしたが、ご主人には事情を説明し、表面硬化剤の変更と白くなった部分のアースウオールの塗替えを提案し、理解して頂けたので良かったです。

材料が受注生産費だった為、すぐさま発注し、十日程で材料が入りました。
丁度そのタイミングで、梅雨の合間の晴れの日が続いたので今回も問題児職長にお願いし無事に施工完了と成りました。


翌日に清掃が入りその後足場解体が行われ工事完了。


後日、私、工務店さん、防水屋さん三人で最終確認とご挨拶兼ねて請求書をお持ちしましたが、その時に又、防水屋さんが少しやらかしていたようで、最後の最後、サービスで石目地部分のコーキングが痛んでいた箇所を打ち換えてくれたみたいですが、その目地材の色が明らかに石と合っていません。

素人目に私が見ても違和感があります。

ご主人からも当然ご指摘がありやり替える事に成りましたが、どうせなら他の箇所も古くなり傷んでいるので 「外壁の石目地部分全て新しく打ち換えて下さい」と新たに見積り依頼を受けました。
思いがけない方向へ話が話が進んで行きましたが追加分も工務店、防水屋さんにお任せしまし、すぐさま数量を図り金額を提示し、色を確認頂き追加工事決定。

怪我の功名と言いますか、棚から牡丹餅と言いますか(違うかな?)いらぬ出費がではあったとは思いますが、古くなってたのは事実なので逆に良かったかもですね。

ありがとうございます。

追加工事の施工箇所は完全な外部なので梅雨が終わってからの施工になります。今度は大丈夫と思いますが、気を抜かずに最後まで全力でお願いします。


最初にお話を頂いて半年以上経ちました。
色々ご迷惑おかけしましたが、ひとまずは無事に終わってホットしました。
ご主人ありがとうございました。
工務店さん、防水屋さん大変お世話になりました。

今回も大変勉強になりました。

    岩下 勉






















株式会社岩下組
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左官工事
 
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