一月ぶりの更新となってしまいました。
梅雨に入ったものの大して雨は降りませんでしたが、7月に入り急に降り出しましたね。
雨は大切ではありますが、我々外仕事に従事する者は降らないに越したことはありません。
どんなに段取りしていても自分の思い通りには絶対行きませんし、あらゆる手を打っておく必要がありますので、経験が物をいうと思います。
今段取りに困っている方、これも大事な経験と思い、あきらめずに頑張って下さい。
話がそれましたが、先日、住宅の仕事で「アースウオール」を塗って来ました。
このお宅は、この場でも何度か取り上げさせて頂いた木造平屋の純和風日本家屋で、今から20年程前に施工させて頂いた住宅です。
個人の住宅では珍しく、ふんだんに左官工事が採用されており、外壁は全て珪藻土土壁「アースウオール」塀は寒水石の掻き落し仕上げ、通路床は豆砂利の洗出し仕上げ、住宅内も珪藻土、漆喰、聚楽壁とほとんどが左官工法で仕上げられております。
工事完了後7.8年位経った頃から、洗出し床の浮や、塀の掻き落しの補修工事等、経年劣化から来る手直し工事をさせて頂くようになりました。
その頃は元請会社や設計事務所さんも立ち会って施工方法や施工範囲の確認をしていましたが、ここ数年は工事完了から時間が経ってしまったことも有り、こちらの物件を把握していた元請社員の方々が引退していたので応対が遅れ遅れになっていたみたいです。
その様な状況だったのでご主人から直接補修工事の話を頂くようになり、元請さんからも「左官屋さんに直接頼まれた方が話も早く、金額も押えられるからその方が良い」と言って頂いたので自社で出来る工事は直接させて頂くこ事と成りました。
昨年の秋、 「外壁珪藻土の表面が大雨が降った時流れるし、和室のサッシから雨漏りもするようになったから一度見て頂けませんか」と連絡がありました。
実はこの以前から「外壁の土が大雨の降った際流れて床面が黄砂が降った後のようにあるのでどうにかならないか」と相談を受けていました。
しかし私はその都度、「外壁表面を強化する事は可能ですが、下手に扱うとせっかく綺麗な外壁の美観が損なわれてしまうのでやめた方が良い」と言って断っていました。
しかし、完成から20年経ち、雨漏りも一部している事なので何とかお願いしますと頼まれてしまい現調に行くこととなった次第です。
3年ぶりに来て見るとやはり素晴らしいお宅。
外壁の珪藻土壁も全然きれいなままです。
屋根の軒が出ているので直接雨がかかりにくいのがきれいに保たれている鍵ですね。
案内されて和室外壁の雨漏り箇所を確認すると確か水が伝って来た跡がありました。
その影響でか、床の間床の漆が変色していましたし、
外壁も手で触ると少量ですが表面の土が落ちます。
結局この時、外壁の表面強化、水漏れ、漆の研磨?再施工の三点をお願いされました。
外壁だけならまだしも水漏れ、漆などは自社での対応は自信がありません。
特に水漏れは特定出来なくてドツボにはまるのが用意に想像出来ました。
そこで、新築時にお願いした工務店さんに相談した方が良いとお伝えしましたが、「今更なのであなたがやってくれと」ご主人。
私もここでうっかり安請け合いするわけにもいかないので、自社がお世話になっている工務店さんにお願いしてよいか確認するとOKの返事。
事情を説明し、いつも住宅左官でお世話になってい工務店さんを道連れにしました(笑)
快良い返事を頂いたので、私と工務店さん防水屋さん三社で再度訪問する事に。
数種類の表面硬化剤をのサンプルをもって行き現場で照らし合わせながら今現在の外観が損なわれないような材量を選別しました。
そして試験施工的に一部外壁に表面硬化剤を塗らせて頂き、一か月後確認する事と成りました。
一月後、外観はほぼそのままで表面もちゃんと固まっていました。
これで材料が決まったので、外壁全面の表面硬化剤塗りと水漏れ箇所の防水処理、防水処理面のアースウオール上塗り、漆塗替の見積りを提出しその場でゴーサインが出ました。
施工は決まったものの、その時は1月。
ご主人からは梅雨に入るまでに工事完了すれば良いですよとお言葉頂いていたので、天気の落ち着く春先に施工する運びとなりました。
4月に入り工事スタート。
先ずは水漏れ箇所のサッシ枠の取り外して元の収まりを確認すると、やはり何の漏水対策もしていません。
工務店さんが当時の図面で確認すると設計図にこの窓が載っていません。
急遽、何かの不都合があり、窓を付けたと思われます。
なので完全な漏水対策がさせず大雨が降った際漏水していたと思われます。
やはり工務店さんにお願いしていて良かったです。
防水工事後にアースウオールを塗りしましたが、当時の職長さんが今でも健在なので、今回もお任せした。
この職長は大柄で声が大きく、腕も良く、誰とでもすぐに親しくなりますしすごく頼りになりますが、問題児です。
(何が問題かは伏せておきます笑)
この材料の仕上げは基本掻き落しみたいですが、このお宅の仕上げは洗出し。
洗出しと言っても水で洗い流す訳では無くスポンジでのふき取り仕上げ。
専用下塗り材を1~2㎜厚で塗り、後追っかけで上塗り材を8㎜厚で塗り付け、木鏝で地を整えて金鏝で軽く押え、ある程度乾燥後にスポンジで拭き上げて行きます。
拭き上げのタイミングが難しい所ですが、さすがにこの道一筋の大ベテラン、久しぶりの仕事でも体が覚えていたのか上手く対処し、仕上げています。
さすがです。
防水処理、珪藻土塗り後、一か月程様子を見て、雨漏りが無い事を確認し、全体に足場を組んで最終工程の表面硬化剤塗りと漆塗りがスタート。
最終工程開始が5月の連休後からで、約一週間の予定。
万が一雨で施工出来ない日があっても梅雨前には十分終わるので一安心です。
しかし、半分ほど施工した後、思わぬトラブルが。
一部で表面硬化剤が早乾きしたのか、壁の一部が白く跡が着いてしいました。
色々な洗浄方法で試していましたが何をやっても落ちる事はありませんでした。
結局跡が着いてしまった箇所は上からアースウオールを塗りかぶせる事に成り、再施工箇所の確認や数量確認、保護材の再選択等すったもんだしている内に梅雨に入ってしまい、踏んだり蹴ったり状態でしたが、ご主人には事情を説明し、表面硬化剤の変更と白くなった部分のアースウオールの塗替えを提案し、理解して頂けたので良かったです。
材料が受注生産費だった為、すぐさま発注し、十日程で材料が入りました。
丁度そのタイミングで、梅雨の合間の晴れの日が続いたので今回も問題児職長にお願いし無事に施工完了と成りました。
翌日に清掃が入りその後足場解体が行われ工事完了。
後日、私、工務店さん、防水屋さん三人で最終確認とご挨拶兼ねて請求書をお持ちしましたが、その時に又、防水屋さんが少しやらかしていたようで、最後の最後、サービスで石目地部分のコーキングが痛んでいた箇所を打ち換えてくれたみたいですが、その目地材の色が明らかに石と合っていません。
素人目に私が見ても違和感があります。
ご主人からも当然ご指摘がありやり替える事に成りましたが、どうせなら他の箇所も古くなり傷んでいるので 「外壁の石目地部分全て新しく打ち換えて下さい」と新たに見積り依頼を受けました。
思いがけない方向へ話が話が進んで行きましたが追加分も工務店、防水屋さんにお任せしまし、すぐさま数量を図り金額を提示し、色を確認頂き追加工事決定。
怪我の功名と言いますか、棚から牡丹餅と言いますか(違うかな?)いらぬ出費がではあったとは思いますが、古くなってたのは事実なので逆に良かったかもですね。
ありがとうございます。
追加工事の施工箇所は完全な外部なので梅雨が終わってからの施工になります。今度は大丈夫と思いますが、気を抜かずに最後まで全力でお願いします。
最初にお話を頂いて半年以上経ちました。
色々ご迷惑おかけしましたが、ひとまずは無事に終わってホットしました。
ご主人ありがとうございました。
工務店さん、防水屋さん大変お世話になりました。
今回も大変勉強になりました。
岩下 勉